【会長コラム】日本の20年も先をいく英国のプログラミング教育(2)

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(前回の記事)

英国では初等教育から中等教育まで「Computing」のカリキュラムを策定し、長期間にわたり子どもたちがコンピュータサイエンスを学ぶことができる学習体系ができあがっています。

英国の初等教育課程は、Key Stage 1(5~7歳)とKey Stage 2(8~11歳)、中等教育課程は Key Stage 3(12~14歳)、Key Stage 4(15~16歳)と定められています。地域によって差はあるものの、Key Stage 1の段階で約72時間分(年間36時間分)をComputingの学びに費やすことになります。

Computingカリキュラムの目指すところ

イングランドのComputingのナショナルカリキュラムの大上段にある目的が、すべての生徒は、

  • 抽象化、ロジック、アルゴリズム、データ表現など、コンピュータサイエンスの基本原理と概念を理解し、応用することができる
  • 問題をコンピュータ視点で分析することができ、その問題を解決するためにコンピュータプログラムを書く、という実践的な経験を繰り返すことができる
  • 新しい技術や馴染みのない未知の情報技術を分析的に評価し、問題解決に取り組むことができる
  • 責任感と自信があり、有能かつ創造的な情報通信技術のユーザとなる

を兼ね揃えること、としています。

ここでは Key Stage 1と Key Stage 2(以下、KS1, KS2)で生徒が学ぶComputingがどのような内容になっているかを、”National Center for Computing Education(NCEE)”Teacher Guide(先生向け指導ガイド、英ラズベリーパイ財団作成協力)を見ながら確認していきます。大きなテーマとして分類されているのが「コンピュータシステムとネットワーク」「プログラミング」「データと情報」「メディア制作」です。これらを支える形で、「効果的なツールの使い方」「テクノロジーの影響力」「安心安全とセキュリティ」がデジタルリテラシーとして存在します。

NCEEサイト掲載の Teacher Guideより抜粋

Key Stage 1(5~7歳)の「Computing」カリキュラム

日本の小学校1年生、2年生に相当するKS1では、デジタルツールで絵を描いたり、文章を書き、音楽を作ることがカリキュラムの中心になっています。プログラミングというよりも、ツールに慣れることに重点が置かれているようです。とはいえ、プログラミングという観点でも、ロボットを動かすような実践的なプログラミング演習も行われています。知識習得と活用、理論と実践がバランス良く散りばめられているように見えます。

KS1では地区や学校により様々なロボット教材が使われているようですが、TTSが開発したBee-Botが使われている様子がネット上で多く紹介されていました。

 

NCCEサイト掲載の Teacher GuideよりYear 1 & Year 2のUnit summariesを抜粋
開発元のTTSのブログよりBee-Bot画像を抜粋

Key Stage 2(8~11歳)の「Computing」カリキュラム

日本の小学校3年生~6年生に相当するKS2では、アニメーション制作、オーディオ制作、デスクトップパブリッシング、写真加工、ビデオ編集、データベースの概念や表計算ソフトの使い方、等を学ぶようになっています。特に高学年になると、ウェブページの制作、ゲームプログラミング、データの共有方法や検索の仕組みなど、実社会のシチュエーションに近い方法でコンピュータを活用します。プログラミングやコーディングが特別な立ち位置ではなく、デジタル制作やデータ処理の一環として自然に溶け込んでいる様子です。

KS1とKS2でComputingに費やす授業時間は約216時間です。年平均では36時間ほどですが、年間を通してしっかりコンピュータの使い方を学ぶことで、他の科目の学びへの好影響が出ることは自明です。デジタルでの表現力が上がり、コンピュータなしではありえなかった、高度な課題解決やプレゼンテーションに活用できることは確実に予想ができることでしょう。

NCEEサイト掲載の Teacher GuideよりYear 3 & Year 4のUnit summariesを抜粋
NCEEサイト掲載の Teacher GuideよりYear 5 & Year 6のUnit summariesを抜粋

高学年になると外国語活動も追加される日本の小学生の授業時間

文科省小学校授業時間 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/

日本では英国のようにコンピュータに関する独立した科目は小学生の段階では存在しません。日本国内で同じくらいの学習時間を確保しているのは、小学生だと道徳で35時間(授業時数)、高学年の外国語活動で同じく35時間となります。国語と算数は 175時間、社会と理科で 105時間、音楽と図画工作で50時間です(6年生の場合)。音楽や図画工作が小学校の発達段階でとても大事であることは理解できるので、やみくもに削る必要はありません。ただ、コンピュータをツールとして使わずにそれらの教科に取り組むことは現代においては微妙な判断であることも事実でしょう。新たな教科がどんどん増えて、何かと時間がないと叫ばれる小学校の学習時間ですが、そろそろ見直す時期に来ているのではないでしょうか。

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