「シュタイナー教育ってどんなことを学べるの?」
あなたは今、このようにお考えではありませんか?
シュタイナー教育は、子どもの個性を伸ばすことを重視した教育法です。
シュタイナー教育を受けるメリットは、IT化やグローバル化など社会の変化に順応できる人材に育つことだと言えます。
本記事では、シュタイナー教育の特徴とメリット、デメリットについて詳しく解説します。
あわせて、シュタイナー教育を自宅で取り入れる方法もお伝えするので「まずは挑戦してみたい」「子どもに合うか試したい」という保護者は実践してみてはいかがでしょうか。
シュタイナー教育とは?|子どもの個性を伸ばすことができる
シュタイナー教育とは、子どもの個性の尊重を重視した教育法です。
具体的には、通知表制度を導入しておらず、子どもの能力を数字で評価しないことが特徴です。
シュタイナー教育は、哲学者のルドルフ・シュタイナー博士が提唱し、約100年もの歴史があります。
現在、シュタイナー教育は60カ国以上に1,000校を超えるほど広まり、世界ではメジャーな教育法です。
(引用:『Waldorf World List』)
日本には、不登校の子どもが過ごしやすい場所「フリースクール」として、1980年代にはじめて導入されました。
現在では、全国でシュタイナー教育を受けられる学校が増えてきており、オンラインで受講できるスクールもあります。
(参照元:『日本シュタイナー協会』)
シュタイナー教育の特徴|個性を伸ばす教育理念で自己肯定感が高くなる
シュタイナー教育と日本で行われている一般的な教育には、いくつか異なる点があります。
東京賢治シュタイナー学校の「シュタイナー教育とは」をもとに日本の教育と大きく異なる点を4つに厳選して解説します。
- 発育段階を3段階に分けて教育する
- 縦割りクラスで異年齢と交流を持ちながら教育する
- 「オイリュトミー」と「フォルメン」をもとに教育する
- 「エポック授業」の導入で集中的に教育する
発育段階を3段階に分けて教育する
子どもは、7年ごとに成長の節目を迎えると考えており、0〜21歳までを3段階に分けて、発育段階にあわせた教育を行います。
引用:東京賢治シュタイナー学校「人間は7年周期で成長していく」
このように「意志」「感情」「思考」を育てる時期を3段階にわけています。
- 0〜7歳までは、身体を積極的に動かして遊び、丈夫で健康的な身体作りをしながら本人の意志を育てる
- 8〜14歳までは、表現力や創造力が向上するように、多くの芸術体験を行います。
- 15〜21歳には、論理的に物事を考える力を培うための学習を行います。
シュタイナー教育は、発育段階にあわせたプログラムやカリキュラムが用意されており、「意志」「感情」「思考」の3つがバランスよく成長できるようです。
縦割りクラスで異年齢と交流を持ちながら教育する
シュタイナー教育は、縦割りクラスで編成されていることが特徴です。
一般的な日本の教育は、年齢別のクラス編成ですので、異年齢の子どもたちが共に活動する機会は少なくなります。
シュタイナー教育の場合、縦割りクラスで編成されているため、異年齢の子どもに触れる機会が多くあります。
年齢が上の子どもは、下の子に思いやりを持って接することで、「優しい気持ち」が育まれるでしょう。
さらに下の子に頼りにされる機会が増えると、責任感や自尊心を育むこともできます。
一方、年齢が下の子どもは、上の子に優しく接してもらえることで安心感を持って過ごせます。
文部科学省は、「異年齢の交流活動」を推奨しており、日本でもシュタイナー教育のように縦割り教育の時間を作る保育園や幼稚園、学校も増えているようです。
(参照元:子どもの社会性が育つ「異年齢の交流活動」)
(参照元:異学年(異年齢)交流 異学年(異年齢)交流活動の充実)
「オイリュトミー」と「フォルメン」をもとに教育する
シュタイナー教育は、オイリュトミーとフォルメンを教育の柱としています。
オイリュトミーとフォルメンの特徴を次にまとめました。
教育 | オイリュトミー | フォルメン |
内容 | 音楽にあわせて身体を動かす | 直線や曲線、さまざまな模様を描く |
目的 | 健康な身体や豊かな感性を育む | 芸術的な感性や集中力を養う |
このようにシュタイナー教育には、芸術的な感性を磨く授業が多くあります。
ほかには、水彩のにじみ絵や粘土や木を使った美術・工芸、編みもの、刺繍、人形づくりなどユニークな授業が多いことが特徴です。
「エポック授業」の導入で集中的に教育する
シュタイナー教育は、「エポック授業」と呼ばれる授業スタイルを導入しています。
小中高校で取り入れられている「エポック授業」は、1時間目を110分間に設定していることが特徴です。
国語や算数、理科、社会などの基本的となる教科を2〜4週間ほど集中的に学習します。
連日、同じ教科の授業を行うことで効率よく学習できるようです。
脳の活動が活発な朝の時間帯に、毎日特定のテーマを集中的に学ぶことによって生徒自身が授業内容に深く入っていくことができ、学習効率が高まります。
(引用:エポック授業(中心授業)とは) |
シュタイナー教育を受けるメリット|判断力や自立心を育むことができる
一般的な日本の教育とは異なる部分が多くある「シュタイナー教育」ですが、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
シュタイナー教育を取り入れている「東京賢治シュタイナー学校」の公式サイトをもとにメリットを2つに厳選しました。
- 子どもの個性を伸ばすことができる
- 判断力が身に付き自立心が育まれる
子どもの個性を伸ばすことができる
シュタイナー教育を受けることで、個性豊かな子どもに育ちます。
子どもの長所はもちろん、短所まで受け入れられるため、自己肯定感が高くなることもメリットです。
子どもの「出来ないこと」に対して否定せずに受け入れてくれるので、何事にも前向きに取り組めるようになるでしょう。
文部科学省の資料では、自己肯定感の高い子どもは、学習に対しても積極的に取り組む傾向にあるようです。
日本でも個性を大切にして、自己肯定感の高い子どもに育つよう様々な取り組みがなされています。
判断力が身に付き自立心が育まれる
個性を伸ばすことを重視しているシュタイナー教育では、子どもが自分自身で判断する機会が多くなります。
困難なことがあったときに、どのように解決すると良いのか、誰に相談すべきかを考える力が身に付きます。
多くの情報の中から自分に適したものだけを厳選する「判断力」は、今後の社会を生き抜く上で必要です。
実際に、文部科学省が推奨する「プログラミング教育」や「STEAM教育」は、子どもの判断力や自立心を育てることを目的としています。
シュタイナー教育の方針のように、子どもの自立心を育むためには、教育者や保護者が見守ることが大切です。
保護者は、お子さまに「宿題したの?」「忘れ物はない?」というように先回りして質問するのではなく、質問してきたことに対して丁寧に答えることを意識すると良いでしょう。
シュタイナー教育のデメリット|転校する場合はギャップを感じる
シュタイナー教育を受けることで、総合的な人間力を高めることができます。
「東京賢治シュタイナー学校」の公式サイトでは、メリットがある反面、デメリットも2つ見つけられたのでご紹介します。
- 日常生活に制約が生まれる
- 転校する場合はギャップを感じる
現実生活にも制約を受ける
シュタイナー教育には、次のようなものが推奨されています。
- 子どもの育児用具を手作りする
- オーガニック中心の食生活にする
- テレビやゲームなどの電子機器を避ける
とくに幼少期と低学年では、学校外でのテレビや映画、ビデオゲーム、その他の電子機器などのメディア使用を禁止、または制限するという方針がとられています。
子どもを基準として子どもに向かう教育の根本は、幼児期と低学年ではまずアナログ技術を教えることにある。12歳以降に、情報技術についての原理を伝える。
引用:日本シュタイナー学校協会 |
休日に家族でテレビを見ながら過ごしたり、映画を見に行ったりできないことが欠点だと言えます。
また、育児用具を手作りやオーガニック中心の食生活を負担に感じる場合は、シュタイナー教育は向いていないかもしれません。
転校する場合はギャップを感じる
卒業するまでシュタイナー教育を受けるのであれば、この難点に直面することはありません。
しかし保護者の転勤や途中で別の学校に転校した際、お子さまが大きなギャップを感じることになります。
たとえば、これまでテストを受けたことがない子どもが点数で評価され、得点が低い場合、ショックを受ける可能性があります。
また、12歳までテレビやゲーム、電子機器に触れることなく育っているので周りの子どもたちと話が合わない可能性もあるでしょう。
シュタイナー教育を受ける場合は、根気強く卒業まで通う必要があるのかもしれません。
シュタイナー教育を家庭で取り入れる方法|感性の豊かな子どもに育つ
シュタイナー教育を導入している学校へ入学する場合は、卒業まで通い続けた方が良いことが分かりました。
そこで、もし気軽にシュタイナー教育を取り入れたい場合は、家庭でできることを実践すると良いでしょう。
たとえば、次の4つはシュタイナー教育の要素に含まれているため、自宅でも取り入れられるのではないでしょうか。
- 木の実や松ぼっくりなどの自然素材で遊ぶ
- 編み物や人形作りをする
- 色鮮やかな色鉛筆を使って線を描いて遊ぶ
- 赤、青、黄色の三原色のみ使ってにじみ絵を描く
このように様々な芸術に触れることがシュタイナー教育の特徴だと言えます。
幼少期のお子さまに木の実や松ぼっくりなどを渡す場合は、誤飲の心配がない大きさであるか、中から虫が出てこないか、など保護者が安全性を確かめましょう。
シュタイナー教育 まとめ
シュタイナー教育は、子どもの個性を伸ばすことに注力した教育法です。
「意志」「感情」「思考」の3つがバランスよく成長できるように、発育段階に分けた教育が特徴になります。
シュタイナー教育を受けると、総合的な人間力が向上するといったことがメリットです。
「総合的な人間力」とは、次のように定義されています。
総合的な人間力
豊かな人間性や社会性,常識と教養,礼儀作法をはじめ対人関係能力,コミュニケーション能力などの人格的資質を備えていることが求められる。 |
シュタイナー教育を受けると、これらの能力を培うことができるのでお子さまの可能性を広げられると考えられるでしょう。