宇宙少年団プログラミングワークショップ!

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2022年11月23日、埼玉県にあるさいたま宇宙劇場でKOOVを使ったプログラミングワークショップが実施されました。小学生から高校生までの幅広い年代の子どもたちが参加したワークショップの様子をお伝えします。

宇宙少年団とは

皆さんは『宇宙少年団』という団体をご存知でしょうか?
宇宙少年団は1986年に設立された歴史のある全国組織で、「未来を担う青少年を対象に、宇宙及び科学をテーマとした体験・体感型学習を通して興味や関心を喚起させ、青少年の宇宙への夢を育む人材を育成します。」という理念の基で活動されています。

その宇宙少年団の全国に散らばる140の分団の1つ『さいたま支部オルフェス分団』さんが、KOOVを使ったプログラミングワークショップを実施されるということで取材にお邪魔させて頂きました。

ワークショップテーマは「車を動かすためのプログラムを組んで、ミッションを成功させよう!」というもの。直線コースの先にある障害物を避けて、その先にあるゴールを目指すミッションです。単にモーターで動きを制御するだけでなく、赤外線センサー、LED、ブザーも使って、参加者はそれぞれオリジナルの動きをプログラミングで実現していくことになります。

テーマを考えたのは、普段は小学校の教頭先生をされているオルフェス分団のリーダー中村 誠さんです。これまで様々な教材を使いこなされてきた中村さんならではの課題設定で、手軽に様々な電子パーツを同時に扱えるKOOVの特長を生かした取り組みとなっていました。

 

思いやりを育むロボットの共同制作

「宇宙飛行士になって宇宙に行くのに、一番必要なものは何か知ってる?」という中村さんから子どもたちへの質問で、ワークショップは始まりました。皆さんは答えは何だと思いますか?

それは「思いやり」です。

これは宇宙飛行士でさいたま宇宙劇場の名誉館長を努める若田光一さんが、子どもたちの質問に答えた時の実際の回答だそうです。「宇宙では、国、人種、宗教、性別の違う様々な人たちが共に活動します。そうなると何よりもお互いを思いやる気持ちがないとダメなんです」という若田さんの言葉が伝えられた後に、中村さんから「今日は2人1組でやってもらいますので、お互いを思いやる気持ちを忘れないで仲良く取り組んでください」という素敵な言葉で、ロボットの組み立てがスタートしました。

プログラミングで楽しく試行錯誤

子どもたちは初めて触るKOOVとKOOVアプリにも関わらず、すぐに慣れてどんどん作り進めていきました。組み立て時間は30分を予定していましたが、早いチームは15分程で作り終え、予め用意された初期プログラムを転送して動かしていきます。

最初は動き出しただけで驚き、笑顔になっていましたが、赤外線センサーが反応して動きが変わる様子を見て「何でだろう?」とすぐに真剣な表情になり、プログラムを読み解こうとタブレットの画面との睨めっこがはじまりました。

あるチームの様子をしばらく見ていた中村さんから「コースを走らせてごらんよ」と声がかかります。子どもたちはロボットを床に置いてコースを実際に走らせてみると、「思ったより動きが遅いな」とか「真っ直ぐ走らない」等、狭いテーブル上では気付けなかった小さな課題を見つけて、プログラムの修正をしていきました。

子どもたちは、最初はモーターの回転速度や時間といった数値の変更を試します。それくらいであれば初めてでも「なるほど数値を変えるとそうなるのね」とすぐに理解できます。しかしそこから理想の動きを実現する為の適切な数値の組み合わせを見つけることは簡単ではありません。数値を微調整しては実際に走らせてみる作業を何度も何度も繰り返していきます。

ある小学校高学年の子から「左右のモーターの速さは同じにしてあるのに、何で真っ直ぐ走らないの?」という質問がありました。実際に作成中のロボットの動きを見てみると、どうしても左に流れてしまっています。最初はわずかな変化でも、距離が延びると次第に大きなズレになってしまいます。

実は車を直進させることはとても難しいのです。ロボット全体のバランス、タイヤとモーターの接続の強弱、地面のわずかな凹凸、モーター毎の個体差、といった様々な要素が影響するからです。「何百万円もする本当の車も、ハンドルから手を離せばすぐに道を逸れてしまうんだ。」という話の後、「じゃあどうやって修正しようか?」と投げかけると「左右の回転速度を少し変えてみる!」と言って、更に試行錯誤を繰り返して、最終的にはかなり直進できるように修正していました。

学びは遊びの中に

今回のワークショップでは多くの保護者が見学されていました。お話を伺いましたので、いくつか感想をお伝えします。

「普段子どもが遊んでいる様子を見ていると、ここまで試行錯誤することはないと思う。何でかなって考えると、今のおもちゃやゲームは完成度が高く、深く考えなくても直感的に楽しめる。また、今は遊びの選択肢がとても多く、上手くいかなかったり、つまらないと、すぐに止めて違う遊びにシフトしていける。でも保護者世代の遊びを思い出すと、良くも悪くもある意味では完成度が低くて、楽しむ為に子ども自身の努力や工夫が必要なものが多かったように思う。だからこそ今日のような経験は貴重だなと感じました。」

「本人がやってみたいとは言っていたものの、プログラミングはまだ難しいのではと心配もありました。でも最後まで楽しんでいるようなので参加して良かったです。」

この言葉は多くの示唆に富んでいるように感じます。子どもは遊びの中で多くのことを体験的に学んでいます。しかし時代の変化とともに、遊びそのものも変化しています。SNSや動画共有サービスが全盛の現在、遊びの多くがわかりやすいものになり、より直感的、刹那的な楽しみ方に変わっていると考えると、失われてしまう体験も多いように思います。

KOOVで遊ぶことは、砂場で遊ぶことに近いと言われます。自由に使える素材をどうすれば楽しくできるか、そこから子どもたちの試行錯誤は始まります。そう考えると今回のワークショップが子どもにとって必要不可欠な体験を補完することになったと言えるのかもしれません。

自分で決めたゴールに向かって学び続ける

実は今回は150分という長時間のワークショップでした。そして参加者の年齢層も幅広かったことから、「高学年の子にとっては簡単で、早く終わってしまい時間を持て余すのでは?」「低学年の子は課題が難しいと最後まで集中力が持続しないのでは?」という相反する懸念がありました。これは無学年で学ぶカリキュラムでは常に抱える問題です。

しかし実際は、ほとんどの子が最後まで集中力を切らさずに取り組むことができました。何故かと言うと「自分自身でやるべき事を決めて取り組めた」からです。障害物を避けてゴールに向かうという共通の課題はありますが、細かな問題に対してどう対処するかは個々の判断になります。そこで自分自身で「こうしたい」と思った解決策を実現しようとすることになるので、最後まで諦めずに試行錯誤を繰り返すことができるのです。

前述の真っ直ぐ走らない車を例に説明します。この問題に対して、ある子は左右のモーターの速さを調整して改善しようと試みましたが、別の子は、スイッチ機能をプログラムしてコントローラーを作って、好きなタイミングで左右に旋回できるようにしようとしました。また他の子は真っ直ぐ走らないことを問題とせず、曲がってきたら手で動かして補正して、赤外線センサーのプログラムに集中していた子もいました。課題意識がそれぞれ違うことで、同じテーマで取り組んでいても、課題の難易度が自然と個々にアジャストされていったのです。

誰かに「やりなさい」と言われたからやるのではなくて、自分自身で「こうしたい」と思ってやることで、難しい問題にも最後まで集中して取り組めるようになります。どんな学習でも同じですが、主体的に取り組むことが大切で、KOOVには主体性を引き出す為の仕掛けがたくさん隠されています。

プログラミング教育に迷ったら

もし「子どもにやらせてみたいけど、どうしていいかわからない」「主体性を引き出す声掛けができない」と感じている方がいましたら、KOOVパートナー教室がお近くにないか探してみてください。モチベーションを高め、チャレンジを促す適切な声掛けができる教育のプロの先生方が、きっとみなさんのお子さまに特別な体験を提供してくれるはずです。

また、学校、幼稚園/保育園、学童、習い事スクール等の方で、「うちの生徒にも体験させてみたい!」と思われた方は、ぜひソニー・グローバルエデュケーションにお問い合わせください。ワークショップ実施のご相談も承っております。

KOOVパートナー教室検索はこちら

公益財団法人日本宇宙少年団 https://www.yac-j.or.jp/
さいたま宇宙劇場 https://www.ucyugekijo.jp/

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