【会長コラム】女子枠でジェンダーの多様性に挑戦した東工大

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理系に進学する女子の割合が少ないことは世界的な問題になっています。
OECD(世界経済開発機構)は2019年に大学などの高等教育機関に入学した学生のうち、STEM(科学・技術・工学・数学)分野に占める女性の割合を加盟国別にまとめて公表しています。OECD加盟国は欧米諸国のほか、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどアジアやオセアニアの一部の国や、中南米の国々が含まれています。

理系の女子学生比率が先進国最低クラスの日本

データを紹介している日経新聞記事によると、OECDは、STEMを「自然科学」「情報」「工学」の3分野に分けて各国を比較したところ、女性割合に関する加盟国の平均はそれぞれ52%、20%、26%となっています。
日本は自然科学(27%)と工学(16%)の2分野で、比較可能な36カ国中最低だったとのことです。情報分野についても気になりますが、その分野に特化したデータはないようです。自然科学や工学一般に比べて「情報」分野ではさらに女性が少ないと予想され、10%以下どころか、5%以下という大学もあるのではないでしょうか。

一方、アイビーリーグに代表されるアメリカのトップスクールでは男女比が半々というのは一般的です。東京大学が全学で女子比率が20%前後であることを考えると、驚く数字かもしれません。かつてはアメリカの大学も女子学生が少ない状況でしたが、何十年もかけて多様性を重視した結果、あるべき姿である、今の比率に落ち着いています。
理系女子も年々増えていて、最近のデータでは、スタンフォード大学のコンピュータサイエンス専攻で、3人に一人が女子学生という状況です。女子比率はこれからもっと増えていくことでしょう。
東京大学としても女子が少ないことを良しとする風潮は全くありません。むしろ、女子学生に入学してもらえるように様々な活動をしています。しかし、残念ながら目に見える成果は出ていませんし、何よりももっと思い切った改革が必要なのです。

東工大の思い切った入試改革と入試における公平性

そんな中、東京工業大学(以下、東工大)が11/10に発表した「総合型・学校推薦型選抜で143人の女子枠を導入する」は大きな反響がありました。現在の学部生の女子比率が13%なのに、約14%に相当する143人を女子枠とするのは思い切った入試改革です。一般入試と合わせて20%を目指す意向のようです。ダイバーシティ&インクルージョンの観点から手放しで称賛できるものだと考えていましたが、報道によると反対意見も一定数あるようで、男子受験生を中心に「不公平」という声が多く挙がっています。

そもそも今の一般入試の制度は公平なのでしょうか?東工大の一般入試では、共通テストの結果は志願者数が定員を大きく超えた場合の第1次選抜にしか利用されません。実質、個別学力検査だけで合否が決まります。個別学力検査では数学が大きなウェイトを占めていて、国内大学入試最長の180分の試験時間で300点満点。物理、化学、英語がそれぞれ150点満点で、合計点は750点満点となります。つまり、40%が数学なのです。あらゆる国際調査で、男子に比べて、女子は数学が苦手であることは証明されています。だとすると、今の入試制度がすでに不公平だという見方もできます。

ちなみに、個別学力調査の合格ラインは例年53%~60%(400点弱~450点)です。伝統的に英語の問題が簡単で、多少苦手でも半分くらいは取れます。東工大受験生であれば、物理、化学、英語で最低でも150点は期待できるので、単なる「数学入試」だと思っても良いくらいです。

入試制度の欠陥を是正してイノベーション創出へ

公正な入試で入学者割合が男女1:1にならないとしたら、それはすでに制度の欠陥なのです。欠陥がある以上、補正することは仕方がありません。理工系難関大学の東工大が「枠」をいち早く導入したことは学術界からも産業界からも称賛されるべきです。

何よりも、女子枠の導入による社会的な意義は間違いなく大きく、多様性の受容がイノベーション創出に資することは言うまでもありません。今回の入試改革で、今以上に大学の研究力が上がり、学術的に大きな成果を出せそうだという期待がもてます。願わくば、さらなる留学生比率の向上にも期待したいところです(2021年時点で修士課程で21%、博士課程で40%)。

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