子どもがプログラミングをはじめるきっかけ

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2022年のゴールデンウィーク期間中に実施された「こども音楽フェスティバル」(主催:公益財団法人ソニー音楽財団/公益財団法人サントリー芸術財団)の連動イベントとして、グループ企業である株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントと一緒に、小学2年生から5年生を対象とした「KOOVでカラフルゆる楽器!」ワークショップを行いました。

今回は「音楽×プログラミング」という珍しいワークショップを事例に、ワークショップの様子や裏話をお伝えしつつ、子どもがプログラミングをはじめる理想的なきっかけ作りについて考えてみたいと思います。

 

会場はANAインターコンチネンタル東京。豪華な会場にみんなソワソワ。

ワークショップ準備の裏話

皆さんはプログラミングと聞くとどんなモノ・コトを連想しますか?ロボット、コンピューター、AI、ゲーム、楽しい、便利、難しい、よくわからない、パソコンに向かって一人でカタカタ…人によって思い浮かぶモノ・コトは様々だと思います。

今回は、一見プログラミングとは距離がある「音楽」がテーマということで、楽器経験者は多いけど、プログラミング経験者はほとんどいないという、普段のプログラミングワークショップとは違った参加者をお迎えしての実施となりました。そういった理由から、事前準備の段階で「プログラミングを体験することではなく、みんなで楽しく演奏すること」がゴールに設定されたこともあり、ワークショップの流れをどう組むかが、とても大きな課題となりました。

普段のKOOVのワークショップでは、

  1. 作りたいものを考える
  2. 組み立てる
  3. プログラミングする
  4. 作品を調整する
  5. 発表する

となるのですが、今回は個人の作品の調整だけでなく、演奏の為の全体の調整や練習が必要になります。もし、組み立てに時間がかかってしまうと、プログラミングできず、最悪の場合は音が鳴らないということも考えられました。「一人の失敗が全体に影響することは、その子への過度なプレッシャーになってしまう」ということも考えると、一人一人が確実に音を鳴らすことができ、作品制作の独立性を保ち、それでいて演奏という一体感を実現するということは、とても難しいミッションでした。

様々な方法を検討した結果、「先に音を出せるようにする」こと、「課題曲を誰もが知っている『きらきら星』にする」こと、「一人一人の担当パートを時間ではなく音階毎に分け、単音を参加者同士が繋げていく」こととしました。具体的には、組み立てとプログラミングの順番を入れ替え、自分の演奏箇所が分かり易いように楽譜などのサポート資料を用意しました。

当日のタイムテーブル

「音楽×プログラミング」ワークショップ

そのような舞台裏の苦悩を、子どもたちは知ってか知らずか、ワークショップはにこやかにスタートしました。

先ずは、自分が作りたい楽器のイメージを膨らませるアイディア出しタイムです。「みんなどんな楽器知ってる?」と聞くと、間髪入れずに「ピアノ!」「ギター!」「ドラム!」といった返事が返ってきます。中には「ハープ」や「チェロ」などの、少し珍しい楽器も出てきました。他の多くのワークショップでは「何を作るか?」を決めるのに時間を要するのですが、今回はそれぞれに好きな楽器があり、スムーズに作りたいものが決まっていきそうです。

 

KOOVには楽器の作例もたくさん(左はギター、右はトランペット)

作りたいもののイメージが固まってきたら、いよいよプログラミングです。先ずは主要な電子パーツの紹介をして、どのパーツを使うか選んでもらいます。そして選んだパーツを簡単なヒントを元にプログラミングしていきます。みんな初めてのプログラミングに悪戦苦闘しますが、10分もすると「すごい!鳴った!」とか「やったー!音が出た!」といった喜びの声とともに、ブザーから出る音が聞こえてきます。参加者には楽器を習っている子も多く、普段から様々な音に囲まれていても、自分でプログラミングして出した音は、また違った感動があるようです。

各自音を出せるようになったら、それぞれが担当する音階になるように調整します。その後は、「音を出すきっかけ」作りです。単に電源をオン/オフして音を出すのは面白くありません。センサーパーツを使って、自分のタイミングで音を出せるようにします。プッシュスイッチを押したら音が出る、赤外線センサーに手をかざしたら音が出る、となるように各自工夫します。中には、光センサーを使って、楽器を服の中に隠すと音が出たりするアイディアも飛び出してきました。

赤外線センサーの反応とブザーの音を確認中(左)、加速度センサーのプログラム方法を確認中(右)

無事に音が演奏者のタイミングで出せるようになると、いよいよブロックで形を作っていきます。ここでも参加者は初めて触れるKOOVのブロックに戸惑いつつも、徐々にそれぞれの楽器の形が出来上がってきます。小さなピアノを作った子もいれば、ピアノを作りたかったけどうまくいかず鍵盤部分だけを作った子もいました。他にも打楽器や弦楽器にチャレンジした子などもいましたが、実は既存の楽器とはまったく違ったものを作ってくれた子が多かったのです。ドーッと鳴く「カメ」だったり、走りながらレーッと鳴る「くるま」だったり、はたまた音を鳴らす仕組みだけに拘った「何だかよくわからないもの」を作ってくれた子も!子どもにとっては、既知の音楽と未知のプログラミングが掛け合わさり、更にそこに創造力も掛け合わさった結果、誰も見たことがない全く新しい「ゆる楽器」がたくさん生まれてきたのです。

最後は、それぞれが作った「楽器のようなもの」をみんなで眺めて、『きらきら星』を演奏して、大盛況のうちに終わりを迎えることができました。

子どもたちの個性溢れる「カラフルゆる楽器」

はじめてのプログラミング、そのきっかけ作り

プログラミング教育の現場にいると、プログラミングすることや技術を身につけること自体が目的となっているような状況をよく見かけます。もちろんプログラミングが大好きになった後であれば大した問題ではありませんが、これから学んでいこうとする子どもにとってはどうでしょうか。

ここで考えていきたいのは子どもとプログラミングとの「出会い方」です。

例えば、保護者の願いとして「プログラミングができるようになってもらいたい」と思うことは自然なことです。しかし「プログラミングの体験会に行こうよ」と誘うのは、果たして子どもにとって魅力的に感じるのでしょうか?もしプログラミングに興味を持ってもらいたいなら、大切なのは「興味を持ってもらいやすいような声掛け」です。

今回の「KOOVでカラフルゆる楽器!」は先ず「音楽」という好きなことがあって、そこにプログラミングを絡ませた事例でした。既に好きなことの上にプログラミングが乗っているから、初めての子でもとても自然に興味関心を持って会場に足を運んでくれました。その結果、プログラミングを楽しんでくれただけでなく、新たな視点で音楽を見つめたことで、普段とは違った音楽の見方や感情を手に入れてもらえたと思います。きっとその感覚は、日常の音楽活動の中でも時々思い出されることでしょう。

もし今この記事を読んでいる方で、「我が子にプログラミングを体験させたい」と思っている保護者の方がいましたら、プログラミング”を”体験させるのではく、プログラミング”で”体験できることが何なのか、考えてみてください。

そもそもプログラミングは道具や手段の1つに過ぎませんし、何かを楽しくしたり、便利にしたりするものです。ですので、何の為にプログラミングをやるのか、という視点が大切になります。

「プログラミングやってみない?」ではなく「プログラミング”で”〇〇(好きなこと)やってみない」とか、「ねぇねぇ、プログラミング”で”〇〇ができるんだって」と声をかけてあげられれば、お子さまはきっと「やってみたい!」となるでしょう。学びはじめのきっかけ作りのヒントは、「お子さまが既に好きなこと」にあるはずです。

プログラミング教室選びに迷ったら

もし「プログラミングを体験させてみたいけど、どの教室を選べばいいかわからない」と迷われたら、KOOVパートナー教室がお近くにないか探してみてください。

KOOVは単に画面内でゲームなどを作るプログラミングと違い、ブロックを組み立てて動かしていくロボット・プログラミングです。今回の事例のように音楽が好きな子だけでなく、動物好き、車好き、スポーツ好きといった、お子さまの様々な興味に合わせやすくなっています。

KOOVパートナー教室で、お子さまとプログラミングの素敵な出会いができるよう願っています。

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ソニー・グローバルエデュケーションの プログラミング教育

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